日本航空(JAL)の株価が世界的に猛威を振るっているコロナウイルス問題により大幅に下がっています。
コロナウイルスのパンデミック懸念により、客数、便数が大幅に減少し、収益性への懸念が強まっています。
経営破綻から不死鳥のごとく蘇ったJALは今後どのようになるのでしょうか?
今回は下降トレンドに陥った経緯、今後の株価、業績、はたまた倒産確率(リスク)、買い時(暴落にて買うべきか?)を予想したいと思います。
基本情報
先ずは、JALの基本情報を見ていきましょう!
会社名 | 日本航空 |
業種 | 旅客航空輸送 |
会社概要 | 国内線、国際線の航空輸送にて国内2位 |
発行済株数 | 343,210,600株 |
売上(予想) | 1,486,000百万円 |
経常利益(予想) | 171,000百万円 |
PER | 7.2倍 |
PBR | 0.55倍 |
ROE | 13.55% |
ROA | 7.76% |
現在株価 | 1,927円 |
株主優待 | ・JALグループ国内線の片道50オフ割引券 ・JALパックツアー7%割引券 |
配当(一株あたり) | 110円 |
※2020年3月15日時点
コロナウイルスの影響により、株価が大幅に下がっています。そのため、PBRを見ると0.55倍となっており、指数としては割安株となっています。
また配当利回りも暴落前は3.7%ほどでしたが、現状は5.7%の高配当株となっています。
これらの指数だけ見ると割安高配当株であるため購入したいところでありますが、コロナウイルス問題により大きく収益性が損なわれている状況ですので、その他要因を含め検討する必要があります。
株価と見る、時系列
暴落(下落)の流れを株価の推移とともに見ていきましょう。
2020年2月20日
中国の武漢から広がったコロナウイルスが世界的流行する恐れがあり、その懸念によりアメリカのダウ市場が大幅下落。
日本も翌営業日の2/25には大幅な下落となる。
本問題の影響により、就航便の減少、客の大幅減による収益性の悪化を危惧し、JALが下げトレンドへ。
株価:3000円⇒2695.5円
2020年3月12日
アメリカ大統領のトランプが、英国を除く欧州全域から全ての渡航を30日間停止すると発表。
これにより、航空需要が大きく下落することを懸念して、JALに株価は大幅に下落。
株価:1927円
コロナウイルスが終息しなければ、旅行、ビジネスでの航空需要が低下します。これらの需要が復活しなければ、収益が改善がなされないため非常に厳しい状況です。
コロナウイルス問題が表面化したことにより、日経平均は約25%の下落。JALは約35%の下落となっています。先に述べた懸念事項が日経平均に比べ10%以上の乖離となって数値として現れていますね。
コロナ影響は?
JALの収益は8割以上が旅客空輸の利益です。貨物郵便事業、ホテル事業など他事業の割合は低く、コロナウイルス問題が終息しなければ非常に厳しい経営状態が続くものと思われます。
現に3/13には、国内線1468便を減便、国際線での新規路線の就航も未定となっています。
今年度としては残すこと3月だけであり、2019年度としての影響は軽微かもしれません。
しかし、コロナウイルス問題の終息の目途が立っていない現状では、来年度以降の利益が非常に厳しい展開になると思われます。
業績
売上は緩やかな右肩上がりではありますが、営業利益、経常利益ともに横ばい状態(直近では下落気味)であり伸び悩んでいます。
四半期業績においても同様であり、売上に比例して利益が伸びておらず収益性の改善が必要な状態です。
コロナウイルスの影響がどこまで業績に響いてくるのかが現状は不明です。その点については4月の決算にて明らかになると思いますので、そちらに注目です。
キャッシュフローと倒産確率
キャッシュフロ-
稼ぐ力である営業キャッシュは業績でも述べましたが横ばい状態。
現金資産は順調にためていますが、コロナウイルス問題により来期は大幅に減らすことになると推測しています。
どこまで現金資産が減るのかは、決算発表にて紐解く必要があります。(現状不明)
倒産確率
収益性が悪化しているのJALですが現金は20203Q時点では約2527億もありますが、コロナウイルス問題により収益性が悪化しており、その影響が見えない現状を考慮すると潤沢にあるとは言えません。
JALの2019年度の売上が約1.5兆円でありますが、来年度も継続してコロナウイルス問題が続き売上が半減した場合、経費の改善しなければ大幅赤字、倒産リスクも高まってきます。
一度は経営危機にて上場廃止にまでなりましたが、今回はどうでしょうか?流石に公的資金の投入があるかと思いますが、また倒産危機により株が紙くずになる可能性もあります。
個人的にはコロナウイルス問題の長期により体力がないJALがつぶれ、国内1位のANAと統合されるといことも最悪のストーリーとして考えらるのでは?と思います。
今後の株価
株価チャート
2018年から長期的な下げトレンドになっています。そこにコロナウイルスショックにより、更に強い下げトレンドになりました。
4000円以上あった株価が2013年度と同レベルまで落ち込んでいる状況です。
コロナウイルスの業績影響がまだまだ見えていない状況であるため、株価は底とは言えない状況です。更に下げる可能性もありますので、購入は控えるべきかと思います。
配当金、株主優待
12月度の発表では配当は予定通り110円を想定していると発表がなされていましたが、今回のコロナウイルス問題により減配、無配当になることも考えられます。
2016年:120円
2017年:94円
2018年:110円
2019年:110円
2020年:110円(予定)
現状配当利回りが5.7%と高配当株となっていますが、2017年度にも減配実績があるため注意が必要です。安易に購入すべきではありません。
国内線の50%割引券である優待については、客を呼び込む撒き餌の意味も有しているため続けるものと思われます。
Twitter、掲示板の反応、口コミ
ネットでの口コミを確認しましたが、ANAよりはJALのほうがコロナ影響が軽度であるため、人気があるようです。
売りより、買い予想をしている人のほうが多いように見受けられました。
まとめ
- 収益性が悪化している
- 現状はコロナウイルスの影響度合いが見えない
- コロナウイルス問題が長引けば、業績に影響大
- 利回りが上がっているが、買い控えるべき
現状、投資家たちはコロナウイルス影響の不安から、影響が大きい航空業界については大きな下げトレンドになっています。
現状株価は35%もの下落していますが、この暴落が収益に対して適切な下落なのかが不明です。
投資家が想定していた以上に企業活動への影響が大きければ、更に株価は下落するだろうし、思った以上に影響がなければ株価は下げ止まると思います。
結局は年度末の決算にその点が数値として明らかにならなければ、不安により下げは続くものと思われます。
株を購入するのであれば、4月の決算発表を待ってからでも遅くないと思われます。
更新箇所
2020年4月1日
運航計画の国内線は2割超、国際線は85%が減便を拡大と発表。
株価:1,790.5円
2020年4月13日
JALは国際線の9割超を減便すると発表。(ANAも同値)
株価:1,969.0円
2020年4月17日
JALは国内線の6割超を減便すると発表。
株価:1,939.5円
2020年4月23日
JALは3月期の連結業績予想にて純利益が930億円から530億円(約65%減)に下方修正。
株価:1,839円
2020年4月27日
JALは三菱UFJなどに3000億円融資を要請しているとが判明。コロナ対策として資金を厚くする目的があると思われます。
株価:1,872.5円
2020年4月30日 期末決算
JALは2020年3月期の連結決算を発表。注目の1から3月期は純損益が229億の赤字であることを発表。
ANAの決算にて4月以降の需要について詳細情報が記載ありましたが、JALも同様で4月以降の決算はさらに赤字幅が増えるのと思われます。
またコロナ対策として手元のキャッシュを手厚くするため期末配当は無配とすること発表。これにより配当利回りは5.67%から2.83%に大幅ダウン。
現金資産は12月期決算よりは増えています。これはコロナ対策として借入を行うことで増やしたと思われます。
株価:1,877.5円
2020年7月21日
JALはANA同様にパイロットや障害者を対象とする採用と既に内定している150人以外の採用は見送りすることを発表。
株価:1,906円
2020年8月3日 1Q決算
2021年3月期1Q(4月‐6月)の決算にて減収減益で売上は763憶円(前年比-78.1.0%)、純損益9370憶円の赤字( 前年比-823.2%) 、通年連結予想はコロナの影響が不透明であるため未定と発表。
主要事業である旅客事業を含め貨物事業以外は全て減収となりました。
(JALの年度末予想では、コロナの終息、需要回復を見越しても会社全体の売上ベースで前年比50%ダウンを想定。コロナの終息は不透明なのであくまで希望的観測)
また配当については中間は無配、期末未定となっています。昨年ド末が無配であることから、今年度の無配となる可能性が高いと思われます。
気になるのはキャッシュ状況ですが、手元資金を厚くするため借入金を増やし3941億円としています。
株価:1,813.0円(前日比8.2%)
2020年8月20日
JALは10月の運行計画において減便を発表。
国内線は32%を減便(前月28%減便)
国際線は88%が減便(前月90%減便)
株価:2,058.0円(前日比1.4%)
2020年10月30日 2Q決算
2021年3月期2Q(7月‐9月)の決算にて減収減益で売上は1184憶円(前年比-70.4%)、純損益67憶円の赤字( 前年比-263.9%) 、通年連結予想は2700億の赤字予定(前年比-605.6%)であることを発表。
この通期予想は2021年3月時点で国際旅客3-5割、国内旅客7-8割に回復する見通しのもと数値化しています。ANAが出した見通りよりは控えめで、現実的な数値かと思います。
なおANAより通期の赤字幅が少ないのは、ANAが自社便にて路線拡大を図ったのに対し、JALは他者とのアライアンスの強化(コードシェア)により路線拡大を図ったことが影響しています。
コードシェア便であるため、保有する機体を増やさずに済んだため、自社機体を多く保有するANAよりは維持費が抑えたと推測されます。
また期末の配当は未定のままとなっています。
株価:1,850円(前日比+1.8%)
2021年2月1日 3Q決算
2021年3月期3Q(10月‐12月)の決算にて減収減益で売上は1617憶円(前年比-55.5%)、純損益514憶円の赤字( 前年比-349%) 、通年連結予想は3000億の赤字予定(前年比-661.7%)に下方市修正。
有利子負債が前年比の約2.5倍である4945憶円。現金及び現金同等物の残高4,549億となっており、直近の倒産リスクはありません。
業績としては国内線前年比66.7%減、国際線は96.6%減となっており稼げていない状況ですが、ボーイングの追加購入など拡大路線を実行していたANAよりはまだまだ健全的といえるでしょう。
株価:1905円(前日比2.2%)