2020年初めに凄いニュースが舞い込んできました。アメリカが1/3にイランのソレイマニ司令官を殺害したと発表がありました。
また1/8にはイランがアメリカの軍事基地にミサイルを発射しました。
これにより両国にて多数の死者が出ており、情勢不安の危惧から第三次世界大戦、WWⅢがトレンド入りをしています。
正月明けの大発会は日経平均が暴落。ミサイル発射後も暴落しています。
このような相場の中、防衛関連銘柄が急騰しています。今回はその防衛関連銘柄について紹介したいと思います。
防衛関連銘柄とは?
戦争、紛争が起きると軍が動きます。(日本では自衛隊)
軍が行動するためには様々な物の消費とそれを補うための発注が増大します。戦争特需というやつですね。
具体的には、銃火器、戦闘機、軍事システム、軍隊が着用する服や備品などの需要が高まります。そしてそれらを供給している企業は需要が高まるので利益が大幅に上がるわけです。(このことから、軍需企業とも表現されます)
アメリカではロッキードマーチン、ボーイングなどが防衛関連銘柄として有名ですね。
この平和な国、日本における防衛関連銘柄ってなんだろう?
wikiを確認してみると意外に多いことがわかります。
その中でも今回は2020年1月のアメリカ、イラン問題にて急騰した日本株の6銘柄を紹介したいと思います。
細谷火工
2020年1月9日現在
会社名 | 細谷火工 |
会社概要 | 防災・救難・宇宙開発・医療で利用される火工品(火薬・爆薬)の研究・開発・製造販売 |
株価 | 1,118円 |
PER | 37.0倍 |
PBR | 1.83倍 |
自己資本比率 | 64.7% |
経常利益 | 175百万(2Qは95百万) |
1/6株価 1128円(前日比+15.3%)
1/8株価 1418円(前日比+19.86%)
※1/6 アメリカ攻撃後の営業日
1/8 イラン攻撃後の営業日
自衛隊向けに発煙筒、照明弾を作っています。民家向けにも発煙筒、不動産事業もありますが、売り上げの大半が自衛隊向けですね。
自衛隊依存度が高いので、今回の暴騰に繋がったと思います。
株価は本事象が起きるまでは株価はヨコヨコで推移しています。1/9現在アメリカが開戦を希望しない旨を発表したため、今度は爆上げ下げ中です。
このまま終息に向かうのであれば、株価は元の位置まで戻りますね。
業績、キャッシュフローも綺麗な右肩あがりではなく、株価同様ヨコヨコな状態です。そのため長期保有での購入は対象外ですね。
また軍需事業に売上が偏りすぎなのも気になります。
豊和工業
2020年1月9日現在
会社名 | 豊和工業 |
会社概要 | 工作機械、電子機械、特装車両、建材、火器(小銃・迫撃砲)の製造販売 |
株価 | 884円 |
PER | 30.4倍 |
PBR | 0.72倍 |
自己資本比率 | 62.8% |
経常利益 | 860百万(2Qは385百万) |
1/6株価 995円(前日比+17.8%)
1/8株価 1010円(前日比+8.84%)
国内唯一の小銃を製造している会社です。また防弾車の製造にも近年参画しており、軍需色が強くなっています。
火器の会社全体の売り上げ割合は13.5 %なので、その他事業のほうが比重が大きいですね。
株価、業績、キャッシュフローともにデコボコしてます。火器が海外へ輸出が出来れば売り上げ拡大と繋がりそうですが難しそうですね…
こちらも購入、保有対象外です。
石川製作所
2020年1月9日現在
会社名 | 石川製作所 |
会社概要 | 紙工機械、防衛機器の製造販売 |
株価 | 1,888円 |
PER | 100.4倍 |
PBR | 3.67倍 |
自己資本比率 | 28.6% |
経常利益 | 200百万(2Qは-115百万) |
1/6株価 2184円(前日比+22.4%)
1/8株価 2381円(前日比+14.86%)
段ボールの製函印刷機を作成している会社ですが、実は防衛機器をも作っています。海上自衛隊向けに機雷、航空自衛隊向けにフライトレコーダーです。
その軍需セクターですが会社全体の売上の60%も占めています。細谷火工同様、かなりの割合ですね。
直近業績は悪く2Qは赤字ですが、去年も2Qは赤字で4Qに多くの利益を計上しているようです。足を引っ張っているのは紙工機で、軍需セクターは好調のようです。
いずれにせよ株価、キャッシュフローもガタガタなので、保有対象外ですね。次へ行きましょう。
日本アビオニクス
2020年1月9日現在
会社名 | 日本アビオニクス |
会社概要 | 防衛・宇宙事業を基盤に情報システム、電子機器の製造・販売 |
株価 | 1,261円 |
PER | 35.6倍 |
PBR | 0.41倍 |
自己資本比率 | 34.1% |
経常利益 | 150百万(2Qは-376百万) |
1/6株価 1498円(前日比+25.0%)
1/8株価 1427円(前日比+8.68%)
陸・海・空・防衛の情報システムを受注しているNECの連結子会社です。軍需セクターの売上比率は全体の66%とこれまた高い割合です。
業績が非常に悪いです。売上は年々下がっており、キャッシュフローもがたがたです。情報システムも電子機器セクターも赤字で、今年は通年で赤字決算となりそうです。
また現在はNECの子会社ですが、日本産業パートナーによるTOBにより、そちらの子会社となるもようです。
それにより株価も低迷しています。この銘柄も保有対象外ですね。
重松製作
2020年1月9日現在
会社名 | 重松製作 |
会社概要 | 呼吸用保護具、安全衛生・防災用の保護具、労働安全衛生保護具の制作 |
株価 | 805円 |
PER | 40.9倍 |
PBR | 1.24倍 |
自己資本比率 | 40.2% |
経常利益 | 250百万(2Qは-30百万) |
1/6株価 851円(前日比+21.4%)
1/8株価 908円(前日比+13.93%)
軍需セクターとしては自衛隊向けには部隊用防護装置(防毒マスクなど)を製作しています。軍需セクターの割合は公開されていません。
マスクが主力なので民間、警察、消防にも販売しており、軍需セクターの割合はそこまで高くないと思われます。
今期の2Qは赤字です。売上、キャッシュフローもパッとしないですね。特にフリーキャッシュフローが低いのが気になります。
3Mと提携しており、防ガスマスクのOEM販売に力を入れているようです。3Mがガスマスク販売していたのに驚きです。
こちらも保有対象外ですね。
東京計器
2020年1月9日現在
会社名 | 東京計器 |
会社概要 | 船舶港湾機器、油空圧機器、流体機器・検査機器、防衛・通信機器の製造・販売 |
株価 | 1,123円 |
PER | 13.6倍 |
PBR | 0.65倍 |
自己資本比率 | 49.8% |
経常利益 | 1,830百万(2Qは83百万) |
1/6株価 1176 円(前日比+14.5%)
1/8株価 1195円(前日比+4.82%)
防衛・通信機器の売上は約30%を占めています。レーダー、照準装置、ジャイロコンパスなど幅広い品を製作しています。
経常利益の進捗率が2Q時点で4.5%と非常に悪いです。他銘柄同様に株価、業績、キャッシュフローが安定していません。2017年には大きく業績が崩れています。
こちらも積極的に購入する対象にはなりませんね。
まとめ
- 戦争懸念から防衛関連銘柄は上がる
- 日本で大きくあがるのは軍需セクター比率が高い中小型株
- 中小の防衛関連銘柄は業績が不安定
- 大きく上がるのは開戦懸念時まで!
戦争、紛争の特需期待でこれら防衛関連銘柄に偏って保有するのはオススメしません。
万が一に発生する紛争リスクにより、保有銘柄の株価下落に備え、その緩衝材としてポートフォリオに組み込むのが良いかもしれませんが、どの会社も業績が右肩上がりではないので積極的には購入はしたくないですね。
軍需企業で入れるならアメリカのボーイングでよいと個人的には思います。
なお三菱電気、川崎汽船なども防衛関連銘柄として挙げられますが、今回の状況下では上がっていません。寧ろ下がっています。
日本株において、この状況であがるのは事業全体における防衛関連事業の比率がある程度高い、中小規模の株なようです。
これらの銘柄は戦争色が濃い状況の場合、日経平均とは真逆の動きをする傾向にあります。
また湾岸戦争時は、株価全体が下がり続けたのは開戦する前までです。開戦したら相場は上がりました。防衛関連銘柄に資金が集中するは、株価全体下落時です。これは覚えておいた方が良いかもしれません。(市場全体が上がり出したら、該当銘柄は下がる傾向もある…)
なによりも株価の損益よりも戦争が起きないことがベストなので、アメリカ、イラン問題も早々に解決することに期待しています。
明日も世界が平和でありますように!