三菱自動車の株価が下がり続けています。ルノー・日産・三菱アライアンスの一員として立て直しを図っていましたが、今期は赤字となりました。
今回は経営再建の見通しが立たない三菱自動車の下げトレンドに陥った経緯、原因を決算から紐解き、今後の株価、業績、はたまた倒産確率(リスク)を予想したいと思います。
基本情報
先ずは、三菱自動車の基本情報を見ていきましょう!
会社名 | 三菱自動車工業 |
業種 | 自動車メーカー |
会社概要 | 世界160か国以上での車の製造と販売 |
発行済株数 | 1,490,282,496株 |
売上(予想) | 2,450,000百万円(前期比-2.6%) |
経常利益(予想) | 20,000百万円(前期比-83.3%) |
PER | 119.7倍 |
PBR | 0.72倍 |
ROE | 16.08% |
ROA | 7.25% |
現在株価 | 402円 |
株主優待 | なし |
配当(一株あたり) | 20円 |
※2020年2月3日時点
三菱自動車の車は、街中でもなかなか見かけないのであまり売れていないと思っていました。予想通りではありますが、売上、経常利益が非常に悲惨な状態です。
特に今期の経常利益は117億の赤字であり、前期比-83.3%です。
ルノー・日産・三菱アライアンスは売上台数世界3位につけています、三菱自動車はアライアンス内でも足を引っ張ている存在なのは間違いないですね…。
なお世界1位はVWグループ、2位はトヨタとなっています。
株価と見る、時系列
暴落(下落)の流れを株価の推移とともに見ていきましょう。
2016年4月
走行データを捏造して、燃費が良いように見せかけていたという不正が発覚。
この捏造に気づいたのはOEM提供を受けていた日産です。
これにより株価が1カ月で50%以上も下落し、日産の笠下に入り立て直しを図ることになりました。
株価:412円
2018年11月20日
日産のカルロス・ゴーン会長とグレッグ・ケリー代表取締役が、金融商品取引法違反容疑で逮捕。
日産は三菱自動車の大株主のため、逮捕の余波を受け株価は低下。
株価:680円
2020年1月22日
ドイツ検察当局による排ガス規制に関する不正疑惑により、家宅捜索を受けていると報道。
これにより株価は前日比7%の急落。
株価:435円
2020年1月31日
3Q決算に当期純利益が118億の赤字となることを発表。赤字転落は3年ぶり。
株価も引きずられて落下し、一時最安値396円を記録。
株価:402円
なお他にも2000年にリコールの隠蔽、2004年にも再度リコール隠しが発生しています。
2020年3Q決算の問題
今回の決算について、少し細かく見ていきましょう。
注目すべきは売り上げ金額に対しての利益率です。通年予測では2.45兆円の売り上げで、営業利益300億の予想となっています。
利益率で1.2%しかありません…。3Qだと1.7兆円の売り上げに対して、営業利益36憶の利益率0.2%です。
( 第三四半期では経常利益-27憶、純利益-118億円)
製造業の平均利益率が5、6%といわれていますがそれに比べても少なすぎる…。
三菱自動車は業績が不調な理由を、売り上げ低迷と為替と回答していました。
しかし、売り上げが更に上がったからといっても、収益性の低さが目立つので問題の本丸はそこではないですね。
近年の為替を見ると2018年は円安が進み114円になりましたが2019年は円高が進み108円です。為替差によりただでさえ少ない利益が吹っ飛んだということも頷けます。
しかし、TOYOTAの利益率が8%なことを考えると、問題の本丸は、やはり利益率の低さです。
為替差にも耐えられるような収益性の高い仕組みを構築することが急務ですね。
薄利多売では、円高に毎年怯えることになりますので…
業績
2017年に大きく売上、利益ともに低下しています。
その後、2018年、2019年にはVの字回復をしましたが、今年はまた2017年同様に落ち込んでしました。
2019年2Qではギリギリ利益を確保していましたが、3Qでは先述のように赤字へと転落です。
通期見通しでは、営業利益、経常利益、純利益ともにプラス予想となっていますが、今後下方修正の発表がされる可能性もありえると思います。
キャッシュフローと倒産確率
キャッシュフロ-
図をみて分かるようにガタガタです。フリーキャッシュフローも低迷しており、正常な状態ではありません。
Vの字回復していた2018年、2019年でこの結果ですから、今年度は2017年03月の同様に営業CF、フリーキャッシュフローも大きく下にへこみそうです。
倒産確率
現金は20203Q時点では約3700億もあり直近での倒産はありません。ただし、昨年同期では約5000憶あったことを考慮すると、かなり減っていることは押さえておきましょう。
今後の株価
株価チャート
不正、捏造による株価低下からの業務悪化の株価下落です。
このままズルズルと下がり300円代に再突入する可能性があります。
ドイツでの不正疑惑は、三菱自動車サイトは否定していますが、不正が事実であれば更に急降下すると思われます。
配当金、株主優待
三菱自動車には株主優待制度はありません。
配当は1株あたり20円、配当利回りが4.98%と高水準ですが、業績悪化した際は減配をしている過去があるため株主への利益返還にはそこまで力を入れてないようですね。
そして、今年度もその減配リスクがあります。
高配当目的での株の購入は控えるべきでしょう。
Twitter、掲示板の反応、口コミ
ネットでの口コミを確認しましたが、赤字拡大、工場閉鎖、製造する車種削減とマイナス要因が強く、市況においても将来性を不安視しているように見受けれました。
そのため売り予想をしている人方が多いと感じています。
まとめ
- 直近の倒産リスクは低い
- 直近10年間、ずっと下げトレンド
- 企業体質に問題あり
- 利益率が非常に低い
- 高配当だが減配リスクあり
個人的にはマイナス材料が出尽くした感があるようにも思われます。しかし油断は出来ません。
ドイツの不正疑惑がまだ疑惑から抜け出せていないため、それによりまた暴落する可能性があります。
三菱自動車はここ20年で株価が1/10以下になっています。不正お問題が長期的な株価下落トレンドのトリガーになりましたが、現状も企業内の体質改善がうまくいっていないように思われます。
決算ではルノー・日産・三菱のアライアンスの関係性を強化して、ガバナンスの強化していくと発表していましたが、3社とも経営に問題ありなので急速な体質改善は難しいと思っています。
結論:三菱自動車工業は買いではない
更新箇所
2020年7月27日 1Q決算
2020年6月1Qの決算にて減収減益で売上は2294億円(前年比-57.2%)、純損益1761憶円の赤字( 前年比-1991.7%) 、通年連結予想は純損益が3600億円もの赤字予想と発表。
今年度の中間期末の配当はいずれも0円予想。
業績悪化により岐阜工場の閉鎖となり「パジェロ」が製造中止もあわせて発表しました。
株価:235円(前日比-12.6%)
日産共々ボロボロです。