クックパッドの株価が2016年からずっと下がり続けています。また2019年12月期の決算では9億6800万円もの赤字を発表しました。
営業利益も8割減と大幅に失速しています。
レシピサイトの最大手として確固とした地位を築いていながらなぜこのような事態に陥ったのでしょうか?
今回は下降トレンドに陥った経緯、クックパッドの弱み、原因を決算から紐解き、今後の株価、業績、はたまた倒産確率(リスク)を予想したいと思います。
基本情報
先ずは、クックパッドの基本情報を見ていきましょう!
会社名 | クックパッド |
業種 | 料理レシピサイト運営 |
会社概要 | 料理レシピ投稿・検索サイト「クックパッド」の企画・運営(国内・海外) |
発行済株数 | 107,429,400株 |
売上(予想) | 11,700百万円 |
経常利益(予想) | 420百万円 |
当期利益(3Q) | -968百万円 |
PER | 70.44倍 |
PBR | 1.46倍 |
ROE | -4.05% |
ROA | -3.49% |
現在株価 | 317円 |
株主優待 | プレミアムサービス利用料6カ月無料 |
配当(一株あたり) | 0円 |
※2020年2月14日時点
クックパッドは日本で一番有名なレシピサイトであり、私もご飯を作る際は利用させてもらっています。
国内でしか展開しかしていないと思っていたのですが、海外のレシピサイトを買収することで海外事業にも力を入れているようです。
直近3Qは前述の通りに9億6800万円の赤字であるため、ROE、ROAがマイナスになっています。
株価と見る、時系列
暴落(下落)の流れを株価の推移とともに見ていきましょう。
2012年5月
カカクコム取締役、創業間もない企業に資金を供給するエンジェル投資家としても有名な穐田 誉輝氏が取締役に就任。
カカクコムを上場させて収益性を拡大させて穐田氏のへの期待から株価は上昇。
2012年初は284.2だった株価が年末には416.3円に!
株価:284.2⇒416.3円
2015年8月
穐田氏のレシピサイト以外の事業も育てる方針への期待とクックパッドの業績が右肩上がりであることから株価は最高潮に!
株価:2,880円
2015年10月~2016年12月
料理を軸に多角化したい穐田氏とレシピサイト一本で勝負したい創業者の佐野氏にて対立が発生。
数か月の社内対立の結果、佐野氏が社長に返り咲きすることに。
これにより世間から評価の高かった穐田氏は同12月には会社を去ることに。なお穐田氏は退任にあわせてクックパッドの子会社「みんなのウェディング」を買収。
経営のゴタゴタ問題、業績拡大に貢献した穐田氏がいなくなったことにより、投資家から失望を買い株は暴落。
株価:1050円(2016年末)
2020年2月7日
当期利益が9億6800万円になることを発表。翌営業日には株価がマイナス4.3%の下落となる。
株価:309円
一時3000円近くあった株価が今やその1/10です。。
なお独立した穐田氏はくふうカンパニーを立ち上げ2018年には上場を果たしており、順調に子会社も黒字化させるなど相変わらずの手腕を発揮しています。
2020年3Q決算の問題
次は今回の赤字決算について、少し細かく見ていきましょう。
説明資料では海外事業、新規事業の人件費による赤字とのことです。
では国内と海外のクックパッドの利用者を見ていきましょう!
日本のユーザは順調に減っていっていますね。2017年当初には6000万人だったのが今や5200万人です。10%以上のユーザーが離れています。
これでは収益の根幹であるプレミアムユーザの月額費、広告費得られませんね。
海外の利用者を見ると、順調に伸びています。インドネシア、スペイン語圏で強いのですが、英語圏がさっぱりです。
佐野氏はアメリカ進出に力を入れているといっていましたが、それが全然実を結んでいない状態です。
売り上げ収益の内訳を見ていきましょう!
やはり稼ぎ頭は国内クックパッドですね。国内のユーザ自体は減っていますが、売上力はまだまだあるようです。
なお国内ユーザ数が減った理由は、品質の低いレシピの掲載(卵かけごはん、おにぎりなど)、健康被害を出す恐れがある危険な料理(食中毒の恐れがあるユッケ、はちみつが入った離乳食)の掲載により、品質を求めるユーザから見限られたのでは?推測します。
続いてユーザ数が伸びている海外事業です。ユーザも増えているのでさぞかし売上も伸びているかと思いきや全然だめです。
日本が約5200万ユーザ、海外が4200万ユーザでユーザ数だけは追従していますが、売上は雲泥の差です。
国内事業とは違い、有料プランと広告費による収益獲得というビジネモデルが海外でうまく機能していないのかもしれません。
業績
穐田氏が去ってから売上、営業利益、経常利益、当期利益すべて下がり続けており、減益に歯止めがかかっていません。
四半期業績においても順調に下がっており、出血を止め、収益性が良い企業体制に改善をすることが急務であることがわかると思います。
キャッシュフローと倒産確率
キャッシュフロ-
穐田氏退任の2016年を境に、営業CF(稼ぐ力)が大きく減っています。
稼ぐ力を伸ばすため、新規事業及び海外事業を育てるために、投資をしていくと決算では語っていましたが穐田氏が在籍していた時の方が投資に積極的であったことがわかります。
投資の本気ぐらいどがの程度なのか?疑問符がつきます。
倒産確率
収益性が悪化しているのクックパッドですが現金は20203Q時点では約231億もあり直近での倒産はありません。
営業CF、投資CFと比べると現金・現金等価物がかなり潤沢にあることがわかります。
お陰で今期のような赤字が続いても当面はびくりとしない状態です。現状のクックパッドはキャッシュリッチ企業なのです!
今後の株価
株価チャート
2015年11月にて勃発したクックパッド内紛により穐田 誉輝氏が去ってから、株価が長期的な下げトレンドになっています。
クックパッドを拡大させ、カカクコムなども上場させてた穐田氏経営手腕が多くの投資家から大きく信頼、評価されていたということがわかりますね。
現状200‐300円レンジでウロウロしており、国内、海外事業の立て直し、その他サービス(CookpadTV、クックパッドマートなど)が実を結ばないと株価上昇は厳し状況かなと思います。
あくまで個人の意見ですが、私はその他サービスはどれも魅力を感じておらず、クックパッド再建の一躍を担えるようなサービスではないと思っています。(サービスを利用したいと思えない…)
配当金、株主優待
以前は配当を実施していましたが、2018年12月期から事業拡大の投資のため無配当を続けています。
事業が実り成長するまで、無配当の方針は継続されると思われます。
株主優待については、レシピサイトの有料会員6カ月無料という微妙な優待がありますが、これは残り6カ月はしっかりお金を払ってね!という撒き餌効果を狙ったものと思われるので、今後も継続していくと思われます。
私はレシピを調べるのにお金をかけることはしないので、魅力的な優待とは思えません。
まとめ
- クックパッドはキャッシュリッチ
- 直近の倒産リスクは低い
- 国内事業、海外事業ともに問題あり
- レシピサイトの多角が成功する可能性は不透明
国内事業はユーザ離れが加速しているため、品質の低いレシピは除外され品質のよいレシピが掲示されるような仕組みの構築が必要でしょう。(ユーザが利用したと思うようなサイト作りをする必要がある)
検索エンジンでレシピを検索するとクックパッドが上位に来ます。おいしく料理を作りたくて検索しているのに、品質の低いレシピが検索されたら誰だって嫌です。
クックパッドに嫌気がしたユーザ様に向けに、クックパッドを除外して検索できる検索サイトもあるようです。
クックパッドはユーザから信頼されていないことを真摯に受け止めて、改善をしていくべきだと思います。
また海外事業はユーザは増えるが収益性が出ていないので、このままずるずると赤字をまき散らすのであれば、メルカリのように海外事業からの撤退も見えてくるのではないでしょうか?
また新規事業のクッキングLIVEアプリのCookpadTV、生鮮食品のネット販売のクックパッドマートもありきたりで、既に競合もいる中でサービスの差別化をしなければ苦戦を強いられると思われます。
結論:クックパッドが下降トレンドから抜け出す兆しは見えない。
適宜更新箇所
2020年8月7日 2Q決算
2021年12月期1Q(4月‐6月)の決算にて減収減益で売上は26憶円(前年比-7.0%)、純損益4100万円の黒字( 前年比-46.1%) 、通年連結予想はコロナの影響が不透明であるため未定と発表。
業績においてはコロナの影響は殆どないと発表していますが、2016年から続く減収減益の歯止めが利かない状態は相変わらずです。
決算報告書においても、全世界Noのレシピサイトを目指すとありますが、具体的な対策、実現性が見えないため、個人的にはとても期待はできないと思ってしまいます。
決算発表後、嫌気売りにより株価は暴落。
株価:319円(前日比-14.9%)