楽天経済圏の改悪が相次いで発表されています。原因はモバイル事業の大赤字です。
それにより株価は軟調な状況が続いていましたが、日本郵政から出資をのニュースを受けて株価が急上昇しています。
今後のモバイル事業が黒字化する見込みはあるのか?はたまた発表された日本郵政からの資本注入、提携は今後の起爆剤となるのか?
楽天の今後の業績、株の買い時、将来性、倒産確率、掲示板やTwitterでの口コミ、なぜ業績提携をするのか?などをまとめ考察してみたいと思います。
基本情報
先ずは、楽天の基本情報を見ていきましょう!
会社名 | 楽天 |
業種 | サービス業 |
会社概要 | 楽天市場、楽天銀行、楽天証券、楽天モバイルの運営 |
売上 | 1,455,538百万円(前年比+15.2%) |
当期利益 | -114,199百円(前年比-258.1%) |
PER | -倍 |
PBR | 2.79倍 |
ROE | -16.99% |
ROA | -1.05% |
自己資本比率 | 4.9% |
現在株価 | 1,508円 |
株主優待 | 楽天キャッシュ、楽天トラベルのクーポン |
配当(利回り) | 4.5円(0.30%) |
※2021年3月12日時点
楽天といえば楽天市場が有名ですね。またネット証券として非常に人気な楽天証券、使い勝手がよい楽天銀行と様々なサービスを展開しています。
中でも楽天市場にはSPUという独自のポイントプログラムがあります。
楽天モバイルや楽天証券などを楽天が運営する様々サービスを利用すればポイントバック率があがるというものです。
これは楽天の囲い込み戦略です。生活基盤に楽天を組み込ませて、いろいろなサービスを利用してもらい、いろいろなところでお金を使ってもらおうという戦略です。
この経済圏を巷では楽天経済圏といわれています。
私も、楽天市場で買い物をし、ふるさと納税をし、楽天証券で積立NISAをしており、がっつり楽天経済圏にて暮らしています。
株価と見る、時系列
直近の株価の推移、なぜ株価が下落、低迷していたのか?について見ていきましょう。
2015年
公募増資を発表。株の希薄懸念により株価は下落トレンドへ。
2015年株価:1,347円(前年比-16.6%)
2017年
携帯事業の参入発表。収益性に疑問符がつき、更に株価が下げトレンドへ。
2017年株価:1,011円(前年比-9.9%)
2018年株価:700円(前年比-28.7%)
2021年3月12日
日本郵政との業務資本提携を発表。出資額は約1500億円にものぼり、創業以降の大型出資となる。
これにより翌営業日にはストップ高を記録。
2020年3月15日株価:1,545円(前年比+24.1%)
時価総額2兆円もの大型企業の株がストップ高になるのは、非常にまれな事象です。
業績
次にセグメント別の業績を確認していきましょう。
大きく分けて3つの事業に分かれていますが、稼ぎ頭はに楽天証券、楽天銀行を有するフィンテック事業であり、利益が14%もあります。
また売上としては楽天市場のインターネットサービス事業も割合が高いですね。
何より注目すべきは、新規参入をしたモバイル事業です。赤字の垂れ流しで、現状利益はありません。
通期業績を見ていくと、売上は非常に綺麗な形の右肩上がりです。
今期も2桁の成長を遂げています。利益は前述したモバイルが他事象の利益を飲み込み、会社全体では赤字となっています。
利益率をみると、安定して10%以上を経常利益を確保しており、日本企業にしては優秀な部類かと思います。(モバイル事業を除く)
四半期業績推移を見ると、楽天モバイルでの1年無料キャンペーンなどにより、収益性が急速に悪化していることが読み取れます。
将来性
楽天としてはモバイル事業を新たな柱として、更なく楽天経済圏への引き込みをしようと考えていると思います。
しかし、赤字覚悟での新規顧客獲得のための無料キャンペーンによる投資などを実施していますが、NTTやKDDI、ソフトバンクに比べるとシェア率は非常に低いです。
何よりも無料キャンペーンをしたのに、1年がかりでやっと定員の300万人を突破したのが、楽天モバイルの不人気を表していると思います。
不人気な理由はやはり基地局の少なさによる、利用可能エリアが狭いことです。こちらについては基地局を増やして拡大するしかないので、継続して設備に投資をしていく必要があります。
また基地局を立てたところで、顧客が取れるとも限りません。
NTTがahamoを発表して以来、キャリアの価格競争が加速しており、安いという楽天モバイルのアドバンテージが霞んできています。
そのため、値段やエリア範囲以外だけを謳っていては顧客獲得が難しい状況となっています。
その対策として、日本郵政との業績提携があるのです。
日本郵政の顧客は高齢者が多いです。楽天モバイルの取り込むことが出来なかった層です。
郵便局の窓口で楽天モバイルの販売などが出来れば、一定数のシェア拡大が見込まれと思います。(日本は超高齢化社会なので、成功すればシェアが大幅アップにつながると思います)
楽天モバイルに高齢者を取り込めれば、楽天モバイルをトリガーに違う楽天のサービスを更に利用してもらい、どっぷり楽天経済圏に取り組む目測なのでしょう。
それ以外にも日本郵政との業績提携は楽天にはメリットがあります。日本郵政は物流のプロであり、ノウハウがあります。
配送ラインの統合などにより、楽天市場でのロジスティクス業務のコストダウンが期待できると思います。(楽天は一部自前で物流を実施している)
また一方の日本郵政としては、不祥事により業績が低迷していため、楽天が得意としているデジタル、フィンテック事業のノウハウを得ることで収益性の改善をしようとしている模様です。
つまりこの業務提携、出資は、楽天と日本郵政がお互いに手を取り合ってDX(デジタルトランスフォーメーション)をするための第一歩であるといえるでしょう。
現状このDXが成功するかは不透明でありますが、変革しようとしている会社姿勢に対し、株価は反応して上がっている状況と思われます。
キャッシュフローと倒産確率
キャッシュフロ-
2015年以降営業CFは順調に上がってきており、それに引きずられることよりフリーCFも上がっています。
また現金は綺麗な右肩上がりをしており、2020年12月時点では3兆円ものキャッシュを所有しています。
倒産確率
現状、現金資金は約3兆円もあり、モバイル事業の赤字は今年度も続くとおもいますが、まだまだ会社が潰れる心配はありません。
株価チャート
先述した通り、日本郵政との業務提携により、DXよる収益性改善、変革期待から株価は上がっています。
あくまで期待ですので、まだ実績が伴っていないこは注目すべきかと思います。
現状直近5年間の高値にいます。2兆円規模の会社がストップ高になるのは異常な状況です。
急激上げすぎているため、加熱し過ぎているのは否めません。このまま実績を伴わない期待だけで上昇するのは難しいと思います。
個人的には1200円~1500円のレンジで推移するのではないかな思っています。(2016年-2017年の支持線が1200円付近であるため、今回もそのラインが支持線になるのでは?)
配当金
利回りは低いですが、配当はあります。
株を購入するのであれば、Amazonの様に株価の成長に期待して入るべき銘柄であり、配当目的で購入する銘柄ではありません。
株主優待
楽天キャッシュと楽天トラベルで利用できるクーポンという2種類の優待があります。
いずれも優待利回りはよくはないので、優待利目的で積極的に買いたい銘柄ではありませんね。
個人的にはホテル予約はいつも楽天トラベルを利用しているため、100株だけ保有して、クーポンと楽天キャッシュを得られるのであれば少し魅力を感じてしまいます。(プラス株価の成長も期待で!)
Twitter、掲示板の反応、口コミ
ネットでの口コミを確認しましたが、株価が高値にあり、また業績が改善したわけではないため、売り目線の投資家が多いように見受けられます。
まとめ
- 来年以降もモバイル事業は赤字
- 日本郵政との業務提携によりDX推進
- 高齢者層を取り込めるのか?
- 株価は期待だけで上がっている
日本の企業として、事業拡大、変革に力をいれており、直近ではなく未来を見据えている良い企業だと思っています。
その企業姿勢から長期的には買いだと思いますが、やはり直近の株価は期待だけで上がっており、イナゴタワーであることは否めません。
そのため、株価が安定し、モバイル事業にてある程度の黒字化の兆しが見えたら購入を検討したほうが良いと個人的には考えています。
管理人の結論:現状の株価は買い時ではないが、長期的には買い場を探っていきたい銘柄である。